雇用時と退職時に必要な手続き

従業員の雇用時と退職時に必要な手続き一覧

雇用時と退職時に必要な手続き

従業員を雇用したとき、および従業員が退職したときには、さまざまな事務手続きが発生します。手続きには期限が設定されているものもあるので雇用や退職が決まったら、正しい事務手続きで書類などの回収・交付を漏れなく、また遅滞なくスムーズに行うようにしたいものです。そこで、従業員の雇用時と退職時に必要な手続きについて解説します。


従業員の雇用時に必要な手続き

  1. 労働条件通知書の交付
    契約期間、賃金の額・支払い方法、従事する業務や場所、労働時間、休暇などの労働条件を提示して労働契約を締結した労働条件通知書を雇用した従業員に交付します。
  2. 労働保険(雇用保険・労災保険)の手続き
    1. 雇用保険の手続き
      1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある従業員(パート・アルバイトを含む)を雇用した場合、農林水産業の一部の事業での雇用を除き雇用した月の翌月の10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
      公共職業安定所(ハローワーク)からは「雇用保険被保険者証」「雇用保険資格取得等確認通知書」が交付されます。「雇用保険資格取得等確認通知書」は雇用した従業員に交付しなければなりません。雇用した従業員が、転職で前の会社で雇用保険に加入していれば「雇用保険被保険者証」を本人から預かって公共職業安定所に提出します。なお、2017年1月1日から65歳以上の高齢者を雇用した場合も(継続して雇用する場合も含む)届け出が必要です。
    2. 労災保険の手続き
      労災保険は、労働時間や契約期間に関係なく従業員を1人でも雇用した場合加入しなければなりませんが、従業員を雇用したときの手続きは必要ありません。
  3. 社会保険(健康保険・年金保険)の手続き
    法人、または個人事業で常時雇用する従業員数が5人以上(サービス業を除く)の場合、従業員を雇用してから5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所または健康保険組合・厚生年金基金に提出します。そのとき、従業員に配偶者や子どもなど被扶養者がいる場合は「健康保険被扶養者(異動)届」を、および配偶者が国民年金の第3号被保険者に該当していれば「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」の提出も必要です。また、年金を受給している高齢者を雇用した場合、「年金額の改定通知書のコピーまたは年金証書」の提出が必要です。
    なお、雇用した従業員がパート・アルバイトであっても、1日の所定労働時間と所定労働日数の両方が正社員のおおむね4分の3以上であれば社会保険への加入手続きが必要です。このときパート・アルバイトに支払う給与の額は関係なく時間と日数の条件を満たせば加入手続きが必要です。
    ただし、日雇いまたは雇用期間が2カ月以内の雇用、あるいは期間が4カ月以内の季節的業務、期間が6カ月以内の臨時的事業の事業所、所在地が一定でない事業所に雇用するパート・アルバイトは加入手続きは不要です。なお、常時501人以上の従業員を雇用する会社ではパート・アルバイトの社会保険への加入条件か緩和されているので注意が必要です。
  4. マイナンバーの取得
    税金の手続き、厚生年金保険、雇用保険などの加入手続きにマイナンバーが必要なため、社内で定めた手続きに従って雇用した従業員および扶養家族がいれば扶養家族のマイナンバーを取得します。

従業員が退職時に必要な手続き

  1. 退職届の受理
    従業員の意思表示を確認します。口頭による意思表示でも問題ありません。
  2. 労働保険(雇用保険)の届け出
    雇用保険被保険者喪失届と雇用保険被保険者離職証明書を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に退職した翌日から10日以内に提出します。添付書類として労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、退職理由確認できる書類が必要です。なお、59歳以上の従業員の場合は、本人の交付希望に関係なく離職票を交付しなければなりません。
  3. 社会保険の届け出
    健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届を管轄の年金事務所に退職日から5日以内に提出します。厚生年金被保険者資格喪失届には、資格喪失年月日を記入しますが日付は退職日の翌日です。提出に際して健康保険被保険者証(本人および扶養の親族分)を添付します。そのため、退職日に従業員から回収します。
    なお、社会保険に2カ月以上加入していた従業員が退職するときは、退職後も最長2年間社会保険(健康保険)を継続できる制度(健康保険任意継続)があります。従業員が、退職後任意継続制度を利用したい場合、退職した日から20日以内に任意継続被保険者資格取得申請書を本人が住所地を管轄する社会保険事務所に期限厳守で提出しなければならないことを説明してあげると良いでしょう。
  4. 住民税の手続き
    会社が住民税を給与から天引き(特別徴収)していた従業員が退職した場合、給与支払い報告・特別徴収にかかわる給与所得者異動届出書を翌月10日までに従業員が居住する市区町村に提出します。
    なお、退職日によって住民税の徴収方法が異なります。1月1日から5月31日までに退職した場合は、最終支払いの給与または賞与から住民税を一括徴収します。1月に退職であれば1月から5月までの住民税、3月に退職であれば3月から5月までの住民税を一括徴収します。6月1日から12月31日までに退職した場合、従業員の希望に応じて普通徴収に切り替えるか、退職月から翌年の5月までの住民税を最終支払いの給与または賞与から住民税を一括徴収します。
  5. 退職する従業員から回収するもの渡すものの授受
    1. 退職者から回収するもの
      • 健康保険被保険者証(退職者本人および扶養する親族)
      • 退職所得の受給に関する申告書(退職金を支給する場合)
      • 社員証
      • 会社から貸与した物
    2. 退職者に渡すもの
      • 源泉徴収票(退職日から1カ月以内)
      • 雇用保険被保険者証(預かっていた場合)
      • 雇用保険資格喪失証
      • 離職票(従業員が希望する場合、および59歳以上の退職者)
      • 健康保険をやめた証明書(従業員が希望する場合)

まとめ

従業員の雇用・退職時に必要な手続きについて解説しました。従業員を雇用したときも、退職したときも遅滞なく手続きすることが雇用する(していた)側の責任です。特に退職手続きは退職した従業員の将来にかかわる問題です。雇用保険の手続きでは退職理由によっては、失業給付を受けられる日数が変わる可能性があります。手続きを間違えたり、遅滞したりすると大きなトラブルになる可能性があり、そのため余計な手間がかかり業務に支障がでるかもしれません。少しでも不明な点があれば専門家に相談しましょう。会計事務所スタートラインでは親切&丁寧、そしてスピーディな対応ができます。