法人設立の意義とは、その概要とメリット・デメリット

法人設立

法人設立の意義とは、個人事業では「法人でないと取り引きができないビジネスがある」「金融機関から融資を受けるのが難しい」「優れた人材の募集が難しい」「節税をもっとしたいができない」などの限界を打破するために法人化することです。


法人化するメリット

主な法人化のメリットは以下の通りです。

  1. 年間所得が一定金額をこえると法人の方が節税額が大きくなります
    年間の利益が継続的に約500万円から約700万円をこえると通常、税金面で法人化した方が30万円から70万円程度の節税ができます。ただし、所得の上昇に応じてコストも上昇するので税理士と面談して税額を計算してもらうことが必要です。法人が個人事業より節税を多くできるのは以下の理由によります。

    1. 所得税率より法人税率が低く節税が可能
      個人事業の所得税は超過累進税率であるため所得が増えれば増える程、税率が5%から45%へ段階的に上がっていき、納税額が大きくなっていきます。一方、法人税率は比例税率で、平成28年4月1日以後に開始する事業年度について23.4%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度については23.2%で一定です。また、中小法人など一定の法人は800万円までは15%の軽減税率が適用されます。
    2. 経費に計上できる費用の幅が増加
      生命保険料、自宅兼事務所の家賃、退職金など、家族への給与・役員報酬など法人にした方が経費として認められるなど経費にできる幅が広くなり節税額を多くすることが可能です。
  2. 対外的信用力の向上による事業拡大
    個人事業者よりも法人であるほうが対外的な信用・信頼がありビジネスの拡大がやりやすくなります。たとえば、貴人事業では以下のような面で法人よりも不利です。

    • 個人事業者とは取り引きをしないという会社が存在しています
    • 個人事業では許認可がおりず、できない事業があります。
    • 特に新規取引先との取り引きでは法人でないと信用・信頼度が低く法人と競合すると負ける可能性が高くなります。
  3. 金融機関から融資など資金調達力の向上
    金融機関からの融資は、一般的に個人事業者では保証人を要求されたり、借り入れ要件が厳しくなったりします。一方、法人の場合は会社の実績・将来性、代表者の資質などを総合的に判断され融資されやすいのが一般的です。
  4. 多額の赤字を出しても赤字の繰り越しが9年間可能
    赤字が生じた場合、次年度以降9年間にわたって赤字の繰り越しができ、黒字の年の所得から赤字分を控除し税金を安くできます。個人事業者も青色申告することで3年間にわたって赤字の繰り越しができますが、3年間で赤字を控除しきれない場合も法人ではさらに6年間にわたって赤字を控除できます。
  5. 優秀な人材の採用が容易
    事業拡大に伴う人材は、少しで優秀な人材を採用したいですが、個人事業と法人を比較すると法人に優秀な人材は集まりやすく個人事業より一般的に優秀な人材を集められます。
  6. 決算月を任意できめることが可能
    個人事業の場合は1月から12月が事業年度と決められていますが、法人の場合は決算月を自由に決められます。
    たとえば、売上が多い月と少ない月があるような事業の場合は、売上が多く忙しい月を事業年度の最初にくるように決算月を決めることで経理事務の忙しさと業務の忙しさを分散できます。これにより、事業への集中や経理事務、節税対策をやりやすくできます。
  7. 事業継承・相続税対策を有利に実施
    個人事業の場合、経営者が死亡すると全ての財産が相続税の対象です。一方、法人の場合は、死亡した経営者が所有していた株式には相続税がかかりますが、会社の所有財産には相続税がかからないため、事業継承を行いやすく、相続税も個人事業より少なくできます。
  8. 事業の売却がしやすい
    事業の承継者がいなくて事業を売却するとき、個人事業では不動産、銀行口座、借入金などについて名義書き換えなどを行う必要があり事業売却が簡単にできません、しかし、法人では株式を売却するだけで簡単に行えます。
  9. 経営のリスク分散が可能
    個人事業の場合、税金の滞納や借入金、仕入れ先への未払いなど、すべての債務を個人事業者が支払う責任(無限責任)があります。一方、法人の場合は出資した範囲で範囲でのみ返済する責任(有限責任)負います。ただし、法人であっても社長個人が保証人になっている借入金などの債務は全額返済しなければなりません。
  10. 助成金・補助金が受けやすい
    法人化すると個人事業では受けられない助成金や補助金が受けられます。また、個人事業でも受けられる助成金や補助金であっても一般的に法人の方が個人事業者よりも助成金や補助金を受けやすくなっています。

法人化のデメリット

  1. 法人化するための登記費用が発生
    設立する会社の種類によって10万円から30万円かかり、専門家に設立依頼するとさらに報酬を支払う必要があります。
  2. 赤字でも税金が発生
    法人化すると、赤字であれば個人事業の場合支払う必要のない税金を、赤字であっても支払わなければならない地方税がもっともも小規模な法人の場合で7万円を課税されます。
  3. 社会保険の費用負担が発生
    法人化すると、厚生年金と健康保険への加入が義務づけられます。その保険料分が経費として増加します。ただし、「厚生年金や健康保険」の方が「国民年金や国民健康保険」よりも保障が手厚く、費用負担が発生しても、特に親族が多く働いているのであれば必ずしもデメリットになりません。
  4. 交際費の全額経費処理が不可能
    個人事業では使用した交際費が正当であれば金額に上限なく交際費として費用計上できます。法人では、正当に使用された交際費であっても全額を経費として費用計上できません。
  5. 事務処理費用の増加
    法人化すると、日常の会計処理や決算処理、社会保険の事務手続きなどの事務処理費用が個人事業よりも多く発生します。
  6. 事業の廃止時に費用発生
    法人化すると個人事業と異なり、事業を廃止するときにも費用が発生します。
  7. 税務調査が厳しい
    一般的に個人事業よりも法人に対する税務調査は厳しくなります。

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