雇用時と退職時に行わなければならない手続きについて、今回は解説してもらいました。雇用時には、新入社員を雇用する場合や転職新入社員の場合で手続きは違うの?退職時はどんな手続きが必要?トラブルにならないためにきちんと学んでおきましょう!
アオイ
大手商社の受付として5年勤めたが、個人としての経験を積んでみたいと、3ヶ月前にフリーライターとして開業。大学の先輩にあたるタクヤに相談を持ちかけ、個人として必要なことを日々勉強中。
タクヤ
父の会社に勤めていたが、3年前に個人としてスタートし、1年前に法人化を果たした。経理に関する知識は一通り身についているが、まだまだ細かいことが分からないのでセンセイにお世話になっている。
センセイ
品川区にある会計事務所スタートラインで活躍する会計のエキスパート。またタクヤの顧問税理士でもある。今回はアオイとタクヤのために人肌脱ぐことになり、正確かつ迅速に受け答えを展開していく。
従業員がやめるってなるといろんな事務手続きが必要になるもんね。
事務手続きの中には期限が設定されているものもあるよね確か
そうですね、もし雇用や退職が決まったら、正しい事務手続きで書類などの回収・交付を漏れなく、また延滞なくスムーズに行えるようにしたいですね!
そうだね、それに手間取りたくないしね。
というわけで今回は従業員の雇用時と退職時に必要な手続きについて解説します!
Contents
雇用時に必要な手続きは大きく分けて、4つあります。
それでは、これら一つ一つについて解説していきましょう。
雇用契約書とは、雇用決定時に従業員と事業主の間で交わす契約書のことです。署名や捺印が必要になるのも特徴です。
労働契約書とは、契約期間、賃金の額・支払い方法、従事する業務や場所、労働時間、休暇などの労働条件を提示して労働契約を締結した労働条件通知書を雇用した従業員に交付します。
こうして、雇用契約を結ぶと、次は従業員側からいくつかもらいたい書類があるので、まずそれを説明していきます!
こちらは入社した日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所に提出しなければいけません。
加えて、扶養者がいる場合には「健康保険被扶養者届」を同封します。
また、正社員以外で雇用した従業員、パート・アルバイトであっても、下記の条件に当てはまる場合は加入対象になります。
これに当てはまる場合は加入手続きが必要です。
ただし、日雇いまたは雇用期間が2カ月以内の雇用、あるいは期間が4カ月以内の季節的業務、期間が6カ月以内の臨時的事業の事業所、所在地が一定でない事業所に雇用するパート・アルバイトは加入手続きは不要です。
なお、常時501人以上の従業員を雇用する会社ではパート・アルバイトの社会保険への加入条件が緩和されているので注意が必要です。
労働保険とは、雇用保険と労災保険をまとめた総称のことを言います。
労働保険の手続きの仕方は、2通りあり、事業によって異なります。
二元適用事業以外全てに当てはまる方法です。
雇用保険と労災保険をまとめて行うことができます。
農林漁業と建設業等に当てはまります。
雇用保険と労災保険の手続きを別に行うことになります。
この労働保険の加入条件って・・・?
はい、労働保険の加入条件は法人全てです!
じゃあほとんどの企業で働いている従業員は入っていることになるのね!
うん。僕の企業も入っているよ
続いて、雇用保険と労災保険について詳しく説明していきます!
今から説明してもらう2つをまとめて労働保険と呼んでいるから注意が必要だね!
1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある従業員(パート・アルバイトを含む)
雇用した月の翌月の10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
※農林水産業の一部の事業での雇用を除く
「雇用保険被保険者証」「雇用保険資格取得等確認通知書」が交付されます。
「雇用保険資格取得等確認通知書」は雇用した従業員に交付しなければなりません。
※雇用した従業員に前職がある場合は「雇用保険被保険者証」を提出してもらいます。
なお、2017年1月1日から65歳以上の高齢者を雇用した場合も届け出が必要です。(継続して雇用する場合も含む)
労災保険は、労働時間や契約期間に関係なく従業員を1人でも雇用した場合加入しなければなりませんが、従業員を雇用したときの手続きは必要ありません。
税金の手続き、厚生年金保険、雇用保険などの加入手続きにマイナンバーが必要なため、社内で定めた手続きに従って雇用した従業員および扶養家族がいれば扶養家族のマイナンバーを取得します。
従業員を雇用した際は、社会保険や労災保険の他に、所得税と住民税の手続きを行わなければなりません。
税金の手続きも必要なのか・・・やること多いね。
まあまあそう言わずに。早速いってみよう!
従業員が入社したら、「給与所得者の扶養控除等(移動)申告書」を提出してもらいます。
雇用主はそれに基づき、「源泉徴収票」を作成します。
従業員に前職がある場合は、前職の「給与所得等の源泉徴収票」も提出してもらいます。
※パートやアルバイトの人も、不要している家族がいない人も、提出しないと所得税が徴収されてしまいます
2社以上で働いている場合は、主な収入のある会社に扶養控除等申告書を提出し、低い税率で税金を計算し、その他の会社では高い税率が適用されます。
主な収入はどちらになるのかきちんと確認することが大切です。
住民税は前年の所得に対して課税されます。
よって、前職がない人には翌年の5月末まで住民税はかかりません。
前職がある場合は、住民税が課税されますが、普通徴収か特別徴収かで必要な書類も変わってきます。
まず普通徴収と特別徴収について説明していきますね!
送付される納税通知書によって年4期にわけ、納税義務者自身が納税する方法のこと
事業主が従業員に支払う給与から住民税を毎月天引きし、納税義務者の代わりにまとめて納税する方法のこと
前職で普通徴収を選択していた従業員は、そのまま普通徴収を継続するのか、特別徴収に切り替えるかを選ぶことができます。
この中で、住民税の手続きが必要なのは、普通徴収だった人が特別徴収に切り替えを希望した場合のみになります。
その場合は、「普通徴収から特別徴収への変更依頼書」を提出する必要があります。
前職で特別徴収を選択していた従業員が継続して特別徴収を希望する場合は、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」が必要になります。
以上が雇用時に必要な手続きになります!
結構盛りだくさんだったね。
雇用するって、その人の生活を支えることになるんだもんね。責任重大だね・・・
そうですね。社長としての社会的責任をきちんと果たせるように、上で説明したことは全て抜かりなく行うようにしましょうね!
次は退職時に必要な手続きについてだね!
それでは早速見ていきましょう!
今回は従業員を雇用した時、および従業員が退職した時のお話をしましょうか