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先ほど説明したように、様々な税金が絡んでくるため、不動産投資には税理士に依頼するかどうかの選択肢が存在します。
それでは、不動産投資を税理士に依頼する場合のメリットや留意しておかなければならない点などをご紹介していきます。
不動産投資にかかる取引は基本的に仲介する不動産会社がまとめて明細を作成してくれます。多くの場合、これを基にして税金の申告をするのですが、不動産会社を仲介せずに行う取引がある場合や不動産会社の書類だけでは申告に必要な情報が欠けている場合は、自分で取引の記録から書類の作成までを行わなくてはなりません。
また、不動産所得・事業所得には青色申告制度というものが存在し、複式簿記での記帳が要件となっています。
このような複雑な経理作業も税理士に依頼することができ、さらに青色申告制度を利用すると、より簡単な白色申告に比べて次のような特典があります。
不動産所得の場合は貸付規模が事業規模である場合に限定されますが、65万円の青色申告特別控除が所得金額より差し引かれます。所得金額が65万円未満である場合は、所得金額が控除の上限になります。白色申告の場合の所得控除は10万円となっています。
ちなみに、家屋の貸付の事業規模の判断基準は一般的には以下の通りとなっています(判例は別に存在し、これは国税庁の見解です)。
(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数が概ね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付については、概ね5棟以上であること。
※土地や駐車場に関しては明示されていない。
同居している、あるいは生計を一にしている家族に対して給与を支払った場合、その額を必要経費に計上することができます。
不動産所得で発生した損失(赤字)を、損失が発生した年以後3年以内に黒字になったとしの所得から、繰り越して控除することができます。大規模な修繕があった場合などに役立つ制度です。
10万円以上30万円未満の備品を購入した際に、その全額をその年の経費に算入できます。(上限あり)
不動産の取得や修繕、備品の子運輸などには消費税がかかりますが、通常家賃収入には消費税が発生しません(事務所家賃等は除く)。つまり不動産投資というものは、黒字であっても支払う消費税の金額が受け取る消費税の金額を上回る可能性が出てきます。
これの何が問題かというと、年間(正確には基準期間)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の免税事業者となり、消費税の納付をしなくてもいい代わりに消費税の還付も受けられなくなります。課税売上とは消費税が課される売上のことをさすため通常の家賃収入はこれに該当しません。
そのため損をしないために、支払う消費税の方が多くなる場合は、あらかじめ課税事業者となる手続きを行い、消費税の納付方式の本則課税を選択・届出を行う必要があります。
こういった判断や届出も税理士に任せることができます。
書面添付制度を利用している税理士の場合、税務申告の際に一定の監査書類の役割を果たす書面添付を行うことにより、原則として税務署からの問い合わせがまずは税理士に行きます。
この制度を上手く使えば、税務調査が入るリスクが全くないとは言えませんが軽減させることはできます。
不動産投資は相続税対策にもよく活用されます。
土地・建物の評価額の適切な算定による課税額の提言、相続時精算課税制度を利用した生前贈与などの対策に加え、遺言書の有効性を担保する対策も行えます。
遺言書の有効性を担保するには、相続人の遺留分を侵していない必要があります。ところが遺言書作成時には問題なくとも土地や建物の評価額は毎年一定とは限らず、都市計画棟により高騰することも十分にあり得ます。
不動産投資で顧問税理士に依頼する際に、相続税対策もサポートしてもらっておけば、毎年不動産の評価額をチェックできる税理士ならではの遺言書の有効性担保という相続税対策も行うことができます。
年に一度、確定申告だけを依頼するのであれば規模にもよりますが、年50,000円ほどからお願いすることができます。
規模が大きく、毎月の顧問契約を結ぶ場合は月10,000~+決算申告量(月額顧問料の6ヶ月分前後が一般的です)ほどからとなっているようです。事務所やサポート体制によって相場は前後します。
税理士事務所によってそのサポート体制や請け負ってくれる業務の範囲には差があります。記帳代行を受け付けていない場合や、節税対策にあまり熱心ではないなど、こちらと税理士の間で温度差があることもしばしば起こり得ます。
契約を結ぶ前に、不動産分野に特化した税理士であるか、こちらが希望する業務を請け負ってくれるのかは必ず契約前に細かく確認しておきましょう。
いろんな税金とか制度が絡んでくるから、申告作業がめっちゃ複雑そうだね。
特に不動産は時価や評価額が税金と関係してくるため、専門性の高い知識や経験が必要です。
税務調査や過少申告加算税等のリスクを抑えるためにも、税理士への依頼は検討したほうがいいかもしれないね。
そうですね、相続税対策を考えている方は、相続税対策にも特化した税理士を選ぶことを強くお勧めします。
どうでしたか?